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田中琴葉や喜多見柚が好き

5.5現在のCoMETIK印象

先日開催されたシャニマス5.5thライブを配信で楽しませてもらいました。中でもコメティックの初参戦は今回のライブの目玉とも言えた点でしょう。ほとんどキャラクターに関する情報が出ていない中でライブで手探りしていくというのはなかなか新鮮で面白い経験でした。せっかくなので、このなにも分かっちゃいない現時点での印象を散漫にではありますが言葉にして残しておけたらいいなと思いました。

ライブ感想

  • 初見思ったことを正直に言ってしまうと、そもそも曲の方向性がどっちかというとライブパフォーマンスするのに向いていないんじゃないかと感じました。ボカロ系はおろか音楽系コンテンツ全般にほとんど触れたことがない私の言うことなのでだいぶ頓珍漢であろうとは思うのですが、こういう楽曲は声にもゴリゴリにエフェクト掛けたりとかで楽器の一部みたいに計算して組み込んだ時の良さがあるのではないかなと。とはいえアーカイブを5回以上見返しているので、なんだかんだ引き込まれたんだと思います。ビジュアル面で言えば、ちょこちょこあるフォーメーション移動がどれもカッコよく決まっていて良かったです。表情管理も見どころで、今後こちらもキャラクターを知っていくにつれ益々魅力を増していきそうに思います。
  • 郁田はるき(小澤さん)は柔らかくも芯のある歌声がとても印象的でした。コメティック楽曲の「高校生(~二十歳)から見た世界を等身大に切り取った」感が際立つように思え、ばっちりと嵌っていたように感じます。「くだらないや」を始め感情表現も随所にあふれていて、この点はライブの方が音源より良さが出ていた点かなと思いました。
  • 鈴木羽那(三川さん)はダンスというか立ち姿そのものがめちゃくちゃバシッと決まってたなという感想です。あと、キャラクターのプロフィールとかサンプルボイスとかなにも入れずに見たところ自己紹介の第一声でひっくり返りました。あれはズル。
  • 斑鳩ルカ(川口さん)は初見ではなかったというのもありますが、いろんな方向に振ってなお抜群の安定感と言う感じ。構成上キラキラした全体曲を歌う場面も多かったですが、歌唱解釈の難儀さが偲ばれてこの人には多めに渡してあげて…という謎目線の感想を抱きました。そもそもルカのここまでの軌跡自体、スタッフは(オタクには別にいいけど)川口さんには一回ごめんなさいしといた方がいいよねって(?)
  • CANVASの3曲が揃って披露されましたが、曲の好みで言えば「平行線の美学」が一番でしょうか。発狂ピアノすき。「くだらないや」のイントロでアルティメットトゥルースを何となく思い出しましたが、検索しても誰も言ってませんでした(たぶんそもそもこの程度の一致度は珍しくなくて、貧困な私のメロディアーカイブにたまたまあったのがそれという話)。歌詞に関しては、全体の方向が(内容はともかく)日本語としてあんまり好みと合ってないかもというのが正直なところです。私の好き嫌いで形式上分かりやすい要素が感嘆詞/終助詞/指示語が出るたびにポイントが下がるというやつなんですが、それを感じた部分はあったとはいえ他曲と比べて特徴的だったかといえばそうとも言い切れず。やはり口語調が強かったことが原因かもしれません。そもそも私の普段の視聴体験では歌詞をあんまり言語として真面目に処理していないところがあります。ところが口語調というのは意味が届きやすいため、普段受け取っていないものを受け取ったことにより困惑してしまったという可能性があります。もっとも口語がダメとかでは全くなく、上で述べた等身大感を出すのに非常に有効であるのは理解しているので、うまいこと受け取れるようになりたいなあという感じです。

キャラクター印象

  • ひとことで言えば鈴木が「ハマるかも」で郁田が「ハマりたい」という感じ。とりあえず名字で行きます。
  • 鈴木はビジュアル・ボイス・台詞から出ている美少女オーラが凄くてそれだけでやられてしまいそうになります。ライブ挨拶でしれっと方言入れてきたのとか反則だと思います。方言女子じゃないのに言葉端にだけ匂わせるなんて!内面の方だとセンター曲である「平行線の美学」が(歌詞について上で悪し様に言ってしまったけれど)なかなか興味深い美学を感じさせてくれます。私個人としては温かさを感じる部分もあるものですが、これってだいぶ「くもりガラス」のイルミネに対するアンチテーゼになっている気がします。雛菜にはちょっと近いかも。さらっと「自分って何ですか?」とか言いそう…というのは薄い感想ですが、どこまでパーソナリティが楽曲に反映されているのか非常に気になります。
  • 郁田に感じているものを身も蓋もなく言ってしまうと、結局唯一性への憧れなのかなと思います。「クリエイター気質」という単語のなんと甘美なことか。こういう自分の世界を持っている人に対しては傲慢にも「そのまま育ちな…」という感想を抱きがちです。彼女の感性に焦点が当たる展開は比較的ありそうかなという印象ですが、近いポジションのあさひの扱いなども考えるとシャニマスがどういう舵取りをするのか楽しみになります。
  • で、彼女たちがルカとCoMETIKを組むんですか…?ルカの現状位置が(主にジエピをどう置けばいいか分かってないせいで)曖昧なのが痛いですが、普通に考えたらルカとユニット組んでもらいますと言われたらルカの優しさとかは一旦脇に行って「えぇ…」となりそうなものです。ボイスドラマとか旧Twitter企画とかで見られるようなルカとの関係にはどうやったら到達できるものでしょうか。彼女たちが実は割とライトに「カミサマ」を消費する人たちだったというのは構図としては面白そうなんですが、さすがに矛盾があり過ぎて違いそうです。
  • 楽曲やユニットイメージはなかなかに過激ですが、彼女たち自身がWINGで爆弾落としてくるみたいなのは今のところそこまで可能性高くないかなと思っています(違ってもびっくりするだけなので全然良いです)。キャラクターに対して闇深闇深と指さして遊ぶのはシーズ周りで十分やったかなという勝手な感想と、「普通」の中にもいろいろ抱えてるものあるんですよという方向性でコメティックらしさが出てくると結構面白いんじゃないかなという期待を込めての所感になります。いずれにせよ、現時点における個人のふわふわ感とユニットイメージとのギャップは確実に意図して演出されたものなので、そこをどう料理してくるかというのは非常に楽しみです。

なんやかやでだらだらと延びてしまいました。思い返すとシャニマスの追加ユニットが衝撃を与えなかったことなどないので、enza版への参戦も告知されて嫌が応にも期待が高まっています。はやく今冬になってWINGをやりたい!

思春期ビターチェンジを読んだ

まさかこの場にアイマスじゃない話を書くことになるとは思わなかった…。ほとんど匿名の気分でありながらネット人格と蜘蛛の糸ほどの繋がりを残しているというので、このブログもなかなか距離感が便利なのである。

先日ネットの海で「思春期ビターチェンジ」という作品にうっかりうっかり激突してしまい、思わず電子版で全巻購入してしまった*1。即売会にはちょくちょく参加していたとはいえ商業漫画を購入したことはこれまでなかったはずだが*2、ラインを越えさせられてしまったという思いである。ついでにboothにも手を出してしまった(これまた実質的に初めてである)。これまでは商業漫画なんていう広大過ぎる海に手漕ぎボートで踏み出してまともな買い物ができようものかという尻込みがあったものだが、読了してみるとこの世の創作物すべてを知悉していたとしてもやはりこの作品を手に取っていただろうと思う*3。今シャレにならないほど逼迫している状況にあるが、どうしてもいろいろ語りたくなってしまったので書いてしまう。

テーマ

自分なりにストーリーを超ざっくり要約してみると。がさつだが面倒見がよく考えるより行動する派の佑太と淋しさを抱えた一匹狼の優等生結依。ふたりは小学4年生のある日心が入れ替わってしまう。元に戻りたいという二人の願いむなしく、お互いの身体を預かり合ったまま過ぎてゆく思春期の葛藤と成長の物語…という感じ。

この作品を大きく特徴づけているのはやはり長期戦というところ。入れ替わりによる苦悩といえば、肉体の違いや周囲への対応などとにかく即座に対応が必要な問題が質量ともに膨大だが、かくも長期にわたってくると人生という視点が重低音のように響いてくる。そしてここが入れ替わりのいやらしいところで、そもそもの原因が謎パワーであるゆえに一縷の望みを持たされ続けるのである。しかも触ろうと思えば触れる位置に"正解"がある状態で。だから単純に考えるべき人生が二人分になるのもそうだし、さらにそれに答えを出させない強い力が働くことになる。一巻ラストにもある「二人でがんばっていこう」という台詞はそれを強く感じさせるもので、思えばそれが購入を決断させる最大の要因だった気がする。他にもユウタが橘に心情を吐露する場面にもこの残酷さがよく表れている。また、特にweb版になるが「ずっとふたりで」のユウタのモノローグもかなり好きなところで、人生を選び取るという喪失が大きなカタルシスを与えてくれるシーンだった。

エンディング

商業版のエンディングは明るいものとなっていて、そりゃあ媒体というものを考えればむべなるかなである。しかしながら、その結末に至るために失ったものというのもしっかりあって、そのあたりのバランスが素晴らしいなあと感じる。特に結依にとって女の子の身体って絶対に「こんな身体」じゃないわけで…。人生の中でのタイミング的にも、オシャレとか、恋…はこの時点だと文脈に乗りきらないかもしれないけど、そういう青春時代がまだギリギリ間に合うかもというところで手のひらの上に乗ったはずなのに、それを握りしめることなく手を傾ける。この状況がすべて自分の行動によるものという点も含めて、あまりにも胸を締め付けられる決断である。

エピローグについてはweb版のものも是非言及したい。こちらはなかなかまあまあ殺傷力が研ぎ澄まされた話である。とはいえ、初読時はどういう方向で判断解釈していいものかという困惑の方が強かった。読解下手な私は裏話の誘惑に負けboothへと走ることになったわけだが、きちんと一貫した説明があってとてもよかったと思った(答えを与えられてこう思ってしまうことに関しては情けなさもあるが)。見直してみるとなるほどヒントとなる描写や伏線が色々見つかるのでこっち方向で考えることまではできたかもしれないが、自分だけの判断では物語を楽しめるほどの確信は持てなかっただろうからやはり裏話を読めてよかったと思う。でもそういうことだとつまり、あの発言はそういうことでお前お前お前。ねえどんな気持ち!!こういった悲しい話は大好物です。裏話本は他にも恋愛周りの設定が非常に納得を与えてくれるもので、購入してよかったと思えた。

キャラクター

ユウタはあのノリでいて(失礼)一途な献身性を見せるのがずるい。また、全編通してみて他者の心情に目を向ける場面が想像以上に多い。そのせいもあって自分の気持ちが割を食ってしまう局面もあるが、そうした自己犠牲の側面にはついつい魅力を感じてしまう。web版はホンマお前なあ!!あと、シンプルにビジュアルがかわいいので加点が入っている。単純な人間なので…。

ユイは上で「一匹狼の優等生」と書いたが、優等生にツンの要素が掛け合わさる塩梅が絶妙だった。改めてユウタと比較すると、性格に難があるとまで表現するとかわいそうだが関心のベクトルが自己に向きがちなのが印象的。結果として元の身体に戻りたいという気持ちがこちらにも強く伝わってきて、いじらしさというか悲劇性を感じさせるというつくり。自分の身体に対する絶対的信頼はある種責任を負わない外から見つめる立場だからこそだったりするのかもとか考えだすと、そこにまで業を感じてしまう。

気になったとか

サラッとではあるがいくつか。まず、一周目は後半の恋愛関係の動きが一部追いきれず大変だった。とはいえきちんと読んでいくときっかけや出来事はかなり丁寧に描写されていたことに気付く。強いて言えば終盤の一馬の動き方かなという感じだが、まあ元々人間出来過ぎていたくらいであったし恋愛の報連相などしなくてナンボなのかもしれない(?)。また、何人かのキャラクターについてはもう少し話を見たいと思った。ひかるはゲーム的に言えばエピソードが一個解放されなかったみたいな印象を受ける。小泉さんもちょっと惜しいと思ってしまった。元々「入れ替わりを隠す」というのは(他作品でも少なからず)ストーリーの前提となっている側面もあるが、そこに切り込んでいけるポテンシャルを感じたキャラクターだった。秘密の共有というのも美味しい役どころであるし。

それ以外の好きなシーンとか
  • 橘の「ありがとう」。キスはまあよくなかったけど、ユウタにとって最終的に橘とこういう関係になれたことは結依の身体で過ごした中でも大きかったろうなあと。
  • ユウタの恋心の自覚。同時にユイの矢印が自分に向いていないこともはっきりとさせるが、非情にも彼の恋模様の把握はけっこう正確で…。ここから7巻以降に向けてのユウタの報われなさは上質で特大で大好物。
  • 7巻表紙。自分の表現ではないのだが「相互不理解の話」というのがかなり自分の癖に入っている。ユイとユウタで相手の理解に非対称性があるのが素晴らしい。報告会が途切れるのも切なさポイントで、入れ替わりという繋がりをもってさえもひととひとが分かり合うには遠い。
  • ユイと結依の両親の関係まわりもかなりよい。良かったねというよりは届かない距離ができてしまった悲しさを湛えている方向で。それぞれの親に隠すのと明かすの、親不孝でないのはどちらなんだろうか。
  • 入学式でのユウタの喧嘩シーン(2回)。ギャップが楽しい。高校のは結依の身体を傷付けられないというのも含まれてるのが芸コマという感じ。

*1:思えば2ヶ月前には「ヒナちゃんチェンジ」との衝突事故でジャンプ+をインストールする羽目になっていた。おれはぜったいにさからえない

*2:ワールドトリガー」を知ってレンタル屋に駆け込んだことはあった

*3:こういう幸運な出会いをすることは時々あって、pixivで艦これ作品を漁っていた時の「骨 のちのこと」とかもそうである

天檻 チラ裏

まとまってない。ノクチルという物語が一つの答えを得たというのは間違いなくて、しかしストーリーとして系統立ててまとめて語るのがとても難しいと思ったので一読してしばらく頭でこねくりまわしていた。状況はいまだそこなのだが、いろいろな感想とかを見てとりあえず出力しておくかという運びになった。アウトプットの契機がシナリオを読み返したとか答えに辿り着いたとかではなく他人の感想というのは何たることかという話はあり、この言葉はお前のものと言えるのかという嫌疑がつくのは避けられまい。自分への愚痴が続きそうになったが本題ではないので置いておく。

 

  • 今のところ、話としてまとめるならシンプルに「陸でいたい」の一言に収束するのではないかと思っている。つまりノクチルをずっと扱いあぐねてきたシャニPが心を決める回であり、ノクチルと海という重ねられてきた比喩が到達した美しい結論である。逆に言えばノクチルの存在自体はこれまで語られてきたものの延長で、強いて言えば周りの反応がちょっと変わったくらいだがそれにしたって好き勝手見ているという点では一緒だ。
  • プールに飛び込むのとか会場を逃げ出すのとかの動機がわかりにくいのがかなり読解を難しくしている気がする。というかわからん。単純に画としての芸術性を受け取れば十分なのだろうか。プールに入ったからこれがノクチルは雑だろ、いやまあアヤツは雑か(ブーメラン)。
  • シャニPサイドと比してノクチル側に起こるイベント(衝撃)は多くはないが、小糸ちゃんまわりの話がよい。オープンキャンパスの仕事が来るというのはこっちも単純に嬉しい。受験誌のモデルの仕事とか妄想したことあるのを思い出した。中学受験なんすけど。
  • 今読み返して「きりがいい」「行くのも戻るのも中途半端」「まだまだ思い出にはさせない」このあたりが繋がってるのに気づいた。鎖状時間ってのもそんな感じか。そうやってラストに行くのがいいね。
  • LPを経た円香が無敵すぎる。戦略性だなんだと説教垂れられても存在を揺らがされることがない。むしろ私にとって貴方達はどんな価値があるとにらみ返すような貫禄がある(偏見)。
  • 5話ラストで浅倉がネオ浅倉みたいなのと会話してる…と頭を抱えたがどっこいちゃんと対比になってた。透GRADもつづくも拾う!
  • とおまどが暴力。67円って出たとこヤバかった(小並感)。単純に話の盛り上がりとして最高だったしここは素直にそう捉えてよいと感じた。
  • パッフェもラビッツもパーティーに着る服ちゃうんよ。そう、ナーシングがあるじゃないか(???)

 

先頭項にも書いたが、難しく考えすぎず書かれてるメッセージをそのまま受け取るのでまずは十分かなというのが今のスタンスである。とおまどというアクセントがあまりに鮮烈なのでそれを味わうもよしだが。

 

「はこぶものたち」について

とてもよい話だった。メッセージ性に富んでいて語る価値があるシナリオであったし、あとなんとなく自分で言語化がしやすかったという卑近な理由もあって、取り急ぎ思ったことなんかをまとめておきたかった。ちなみに下書きにはピトス~樋口LPの話が全然進まない状態で溜まっている。あれ参照範囲がほぼ全コミュだから骨が折れるんだ。

 

端的に言えば、「『輝きをみんなに届けよう』とあるが、どういうことか。」という問いについて誠実に向き合った話だったように思う。それはイルミネーションスターズが4年間をかけてステージを上がってきたことによって、彼女たちが最初に唱えた合言葉であるこのフレーズの解像度を高めることが必要な時期になったということであろう。プロデューサーの「未来にしていかないと」という言葉通り、イルミネがまた一歩先へ進んだことが感じられるコミュだった。

 

今回のシナリオでは全編を通じて、世の中がそんなにうまくできてないことが何度も何度も描かれる。真乃がプロモーションするデリバリーサービスには配達員のマナーがなってないと評判が立ち、一方で割引キャンペーンには配達員の側から悲鳴が漏れる。めぐるの紹介した環境志向ファッションブランドにも「エシカルは欺瞞」というコメントがつく。そうした描写の積み重ねの果てに、イルミネのハーフタイムショーによってサポーターとファンの間に軋轢が生じ、「届ける」というワードが重なって軸となり彼女たちの前に喫緊の課題として立ち上がってくるというつくり。う、上手い…。あと単純に「そういうこと」の描写力が。

 

いいこと一つするのも儘ならないということを突き付けられた3人がスタジアムで考えるところが回答編になる。ここのロジックが美しい。「応援することは誰かのことを知るってこと」、それは今まで「みんな」として捉えていた集合が畢竟「ひとりひとり」の集合であって、そうした個々人に対して思いを馳せ、理解を深めることが届けるために求められるということなんだと思う。このシナリオの最後が兄やんからイルミネへという小さな届け物で締められるのも、その個のやりとりにこそ本質が詰まっているんだという示唆だと感じた。大きくなったイルミネがよりたくさんの「みんな」に向き合ってくときに今回のことが糧になるのだろう。そういえば理解を深めるとか相手を知るとかについては「くもりガラスの銀曜日」で取り扱われていたテーマだったので、この辺を繋げてみるのもいいかもしれない。つくづくイルミネの向き合うテーマの途方もなさに嘆息してしまう。

 

これはアイドルとしてのイルミネに限らず、今回モチーフになったりならなかったりした出来事への言及と見て取ることもできる。究極的には自分のためであろうと、届けようと行動することはきっと誰かのためになるという信じていたい。そして、その中で様々な「ひとりひとり」を知って視野を広げていくことが、真に「いいこと」に近づいていくために重要なのだろう。最後の「応援するから」という台詞は、まさにそんな今回のテーマを有言実行したシャニマスから我々への届け物であったと思う。

 

この辺りからどんどん脈絡がない話になっていくが、このシナリオまだまだ別の角度からも語れそうである。一番目立つところでは、6話のイルミネ報告会のところはあんまり回収していない。みんなと個人の対比とかあるんだろうなとは思うけれども、もうちょっと色々考えたり、他の人の感想を見てみたりしたい。後は…まあいいか、真乃の衣装がフードデリバリーのプロモーションに使うにはえっちすぎない?

 

個人的にイルミネのシナリオは明確なテーマ設定と鮮やかな回収にしばしば感心させられており、いつも期待を膨らませながら待っているシナリオのひとつである。今回の「はこぶものたち」もその哲学からテーマの落とし込み、細部の完成度に至るまで、自分の好みにもあっており非常に楽しませてもらった。今年も始まったばかり、5年目に突入するシャニマスを益々楽しみにしている。

樋口円香についての覚書

自分用メモです。書くことで整理できないかなというもの。

 

アイドルマスターシャイニーカラーズもいよいよ3年目に突入しようかという中、新ユニット「ノクチル」のメンバーが順次実装されています。まだユニットとしての全貌は見えませんが、これまでのユニットとの大きな差別点として全員が幼馴染であることが公式からも示されていますね。このシャニマスの世界が、彼女たちの関係をどう変えていくか―これまでのシナリオを踏まえるともう信頼を込めて「襲い掛かる」と言っていいかもしれません―今から楽しみです。

 

さて、そんなわけでユニットの一人である新アイドル樋口円香さんもpRが実装され、意気揚々とWING編をやってきました。期待を裏切らないいいコミュだったのですが、プロデュースを終えてどうも不思議な気持ちを覚えるようになりました。明確に刺さった!という感じではないのですが、ぼんやりとした「お前を理解(ワカ)ってやるからな…」という思いを持った…気がします。よくわからない。多分私のパーソナルな状況も影響しているのだとは思いますが、とにかくこうして記事を書かせる何かがあった。そこで、今回はこうして覚書として結論も道筋も立てずにのんびりと書いていこうかなと思っています。

 

とりあえず最初にプレイしたときの感想をだらだら。※途中必ずしも肯定する内容のみを含むわけではありませんが、良し悪しの話ではなく好き嫌いの話です。

  • イントロ、最初に事務所背景が出て電気が消えた時点でもう察した。これは?まさか?と思ったらマジでそうだった!女の子と女の子の感情の話は大好きなので第一印象は「最高~~~~」でした。それほんとに樋口円香の第一印象と言えるか?
  • およそ親愛度が上がる表情と発言じゃねえ…。
  • S1、クールちゃんだと思ってたらいきなり面白い言葉でおちょくってきた…。馬鹿にされる分には別にどうもないんですが、なんだこの…むず痒い感じは…。冷たくしてるつもりだろうにその言葉遣いだとなんか愉快な人みたいに思ってしまうんだけど樋口さんどう思ってるの?素なの?とはいえ、Pに対して無関心というわけではなくベクトル自体は向いているので、コミュニケーションそのものは多いのかな。(後からメタ的に考えると、こうして雰囲気を和らげないとマジでヤバいということだったのかもしれませんね。)
  • そのあとのアイドルをくさす下りがプロデュース通して一番「う……」となった箇所でした。しかしそう思うってことは自分がそれだけ「アイマス的価値観」に染まってるということでもあり、それに気づいたときはちょっとびっくりしました。
  • S2、ここ初見だと全部流してたんですよね。序盤のPの「レッスンもないはずだけど」のセリフが伏線にはなってるんですけどまあ気付けず、その後ちょうど「無理はするなよ」を選んだため普通にレッスンに行っただけだと思ってました。他の2つの選択肢は予定がないことを言い直してて気付きやすいのですがちょっと運が悪かったかな。ちなみに後で使われる特別手当の話も「夢はないのか?」を選んだ先にだけ出てくる。
  • ライブボイスも全体的に小さいけど、思い出で「美化しないでもらえます?」って言ってんのかwww
  • S3、二酸化炭素濃度の話ってなんだ。IPCC報告書でも読むか?(このボケは今出てきたけどそのあとになって初めて燃焼後に発生する二酸化炭素に気付いたので俺はもうダメだ。)そろそろ核心に近づいてきているんだろうか。発言の一貫性が見えなくてどういう気持ちで言ってたかはわからないけど、アイドル舐めてる人間の言葉ではなさそう(まあメタ的にそれはそうなのですが)。
  • S4、いよいよ。「怖い……」と言うときのトーンが意外だった。もっと抑揚無く、ただし言いたくなさに小さい声で逃げと少しの怯えを込めて「……怖いじゃないですか」みたいに言うイメージだった。何が彼女をそこまで追い詰めたんだろう?
  • S4通過して初めてS2のが自主練だったことに気付く。
  • 準決後。「うるさい大丈夫」最高…………
  • 蛇足。な、泣かないかあ…。と、もしかしてPと発言が被っちゃうやつ?ピクニックでもあったしレッスンルームの鍵もそれっぽかったし。いいですねそれ。
  • テンプレツンデレ発言来たか。もっと弱みは隠していいんですよ?でも最後のは好き。
  • 朝コミュは激ムズの透に比べたらマシかな。後で銀鍵で全部見たんですが、開口一番「おはようございまーす!」とかPもなかなかいいキャラしてますね。お前そんな挨拶に入れる長音なんて使う人間だったのか。後半の朝コミュは樋口さんの語彙も相まってほぼコントみたい。
  • WING2周して信頼度も4まで上がりましたが(上がったとは言っていない)、4のセリフいいですね…。アイドルってやっぱり誰かの人生を消費するものだよなあとは思っているのでそこに切り込んでくるのは嬉しい。アイマス世界だと救いが欲しければとりあえずアイドルみたいな面はありますが(まあシャニマスはその辺非常に丁寧だと思っていますが)、プロデューサーってやっぱりそういうポジションだよなあと。

だいたい初見時に思ったことのはずです。一番引っかかったのは「怖い……」で、あとはアイドルに対する言及の裏にあるものです。じゃあここからいろいろ考えてみましょうか。

 

「怖い……」に関しては、今「逃げ」という言葉を使ったことで何となく分かってきました。基本的に前半で言われる彼女のアイドル観は逃げ、あるいはセーフティーラインを引いてるようなものだと思っています(行動はまあともかく)。だから私もそこから延長線を引いて考えていたのでしょう。しかし彼女は今度は逃げずに、自分の気持ちに真正面から向き合い、さらにはそのままPに伝えるところまで行ったと考えるとよさそうでしょうか。Pに、「王子様」にそれを伝えるということは自分もドリーマーの世界に足を踏み入れるということを分かったうえで、自分も輝きたいと覚悟を決めたのでしょう。

つまりあそこは口ではイヤイヤ言いながら心は一線を超えることを受け入れていったシーンなんですね!はーなるほど!!

 

はい。さて、じゃあ彼女はそこに至るまでに何を見聞して何を思ったんでしょうか。いろいろイベントも起こるしいろいろ言ってはいるけれど、何考えてたかは別ですからね。最初はここがよく分からなかったのですが、(今このタイミングで)改めてコミュをまとめて見返しているうちに、心臓を握るをベースに意外とストレートに繋げられるような気になってきました。

  • 恐らく最初は本当に透を人質に取られたからアイドルを始めたのでしょう。本人にその気はなかったはずです。根本にある「背負いたくない」という思いは、凡そアイドルをやる性格であるようには思えません。(だからこそ信頼度4の「責任取れるんですか?」というのがこちらに重くのしかかってくるわけですね…。)
  • そんな彼女が足を踏み入れてしまったアイドルの世界で見たのは、自分では到底持ちえない情熱と、その象徴ともいえるプロデューサーだったわけです。Pにはもともと透を誑かしたことで不信感を抱いていたであろうことも相まって当然冷たく当たります。ただ、そんな情熱的な世界に対して無意識的に劣等感を持っていたとしても不思議ではありません。アイドルを見て出てきた「自己顕示欲の塊」という言葉は、愛憎入り混じる思いを端的に表したシニカルな表現にも見えます。
  • 一方で、既にS1の時点でこの先につながるメインテーマが出てきています。Pに宣材写真を褒められ、彼女は「誰かの期待を背負う」状況に入りつつあります。恐らくアイドルなんていう情熱を燃やす世界に自分が入るのはまっぴら御免なはずで、「ひとりでやってくれ」というもかなり本心でしょう。「私みたいな素人」「ほどほどの愛想で」「普通にやっただけ」「未完成でも商売になる」というのは、せっせと期待を下ろそうとしているのかもしれません。
  • S1通過時点でも、アイドルに対するスタンスは最初と同じでしょうか。「通るだろうなと思っていた」のは、恐らくこの時点の周りの状況から客観的に見た感想でしょう。円香のアイドルとしての天性のポテンシャルが表されているとみてもいいかもしれません。
  • S2ではファンとの出会いによって円香に対してより明瞭に、そして純粋に期待が示されます。これに対して「疑問が先立つ」というのは、期待を避ける裏にある自己肯定感の低さから来ているのでしょう。自分の中に期待に応えるものがないと思った円香の「分からないなりの対応」というのが、その後の自主レッスンになります。円香が真面目と評されるのも、このあたりを見ると納得です。
  • ところで、ここかなりの読解ポイントというか面白いところです。「ファンからの期待」が先か、それとも「自主レッスン」が先か、どっちなんでしょうか?出来事としては、後者が先に見えます。コミュの流れでは円香が事務所に来たのは初めからレッスンルームの鍵を受け取るためだったと考えた方が自然です。選択肢の「無理はするなよ」というのも、Pは「分からないなりの対応=自主レッスン」について知ってたからこそ出るセリフと考えるとしっくり来ます。上でこの選択肢だけレッスンの予定がないことに気付く描写がないと書きましたが、これPがそこに既に気付いているからというちゃんとした理由があるんですね。え、すげえ…。今震えてます。さて一方で、こういう形でのファン対応は恐らく初めてとはいえ、円香は既に期待を受けてきているはずであろうという点にも気を向けた方がよさそうです。ライブはもうやっているし、何より最初からずっとPは円香に期待し続けてきました。コミュの構成から考えても、「期待→努力」という流れはかなり強く存在していそうです。まあ、ここの順序はけっこうおもしろそうだと思っていろいろ書きましたが、順序などないというのも間違いなく正解でしょうしこれぐらいにしておきます。
  • S2通過時もファンからの期待を重ねてきます。ファンレターを受け取らないところには円香の思いがよく出ています。
  • S3では、オーディションにおいてアイドルに身を捧げる子たちの情熱を目の当たりにしますが、合格通知を受け取ったのは円香でした。ここは、言われているように敗者の思いも背負っていくことを表していると考えるのがよさそうです。相も変わらずPも期待してくるので、「本当に?」と聞いたり「期待は背負わない」と明言したりとかなり疲弊していそうです。ただ、このあたりの円香自身のスタンスはまだよく分かっていません。「安っぽい笑顔で歌っていた人」「勝ち負けは気持ちの問題じゃない」あたりのセリフが引っかかっていますが、どう捉えるのがいいでしょうか?「強い言葉を使う時はそう思い込もうとしている時」だから、「安っぽい笑顔」と自分に言い聞かせているんでしょうか。あとは「勝ち負けは気持ちの問題じゃない」で何とか敗者の気持ちを背負わないようにしようとしているとか?
  • こうして見ていくとS3通過のときはかなりぐちゃぐちゃになっていそうです。愛おしいなお前…。
  • ついにS4でさらに次のオーディションというところになって、円香の思いが爆発します。ここは私は上で書いたように選択肢前で感情を赤裸々に吐露した時点で円香がラインを超えたという風に見ています。振り返ってみると、円香の心に火をつけたのは円香がこれまで背負ってきた他人からの思いだと感じられます。ここまで真面目に背負ってきた思いが逆流して円香に翼を与えたと考えると感慨も一入です。
  • Pに対する「私、あなたには期待しません」ってこれよく読むとデレですよね!?こういうのでいいんだよこういうので!ともかくこの辺りでようやくPに一種の信頼を置くようになりますが、これはこれまでPが円香に期待し続けて、それがアイドルに対するエネルギーとなってきたからこそでしょう。Pが円香がアイドルをやっていく上での動力源であってきたから、「プロデューサー」が必要なんだというオチになるわけですね。

美しい流れでした。この記事書き始めた時点ではこれ見えてませんでした、本当に。想像を超えてまとまってしまい、シナリオの完成度に感嘆しています。もう円香が何言ってても可愛い。文中で「円香」と書くのも、これ自然に変わってて気づいたとき自分でびっくりしたので残しました。これはもう…うん…まあ言わないでいいか。もはや人に見せるものではありませんが(もともとそのつもりは薄かったとはいえ)、結果としてリアルタイムの記録になったのは期待を超えた収穫です。

シャニマスのコミュはずっと大好きでしたが、ここまで何度も読み込むことをしたのはこれが初めてです。もしかして他のコミュもこんな感じなんですか?やば…鉱脈かよ…。コミュ鉱脈。そんなわけで何とか福丸小糸さんの実装前に書きあがってくれたので、明日(今日)からも新アイドルを楽しみたいと思います。ノクチル、一体どんなユニットになっていくんでしょうか。

TC選挙を琴葉陣営から考える・議論の手続き編

ミリシタのTC選挙お疲れさまでした。結果からいえば琴葉についてはあまり上位争いに入ることはありませんでした。また少し事情を知っている人なら、コンベとかが荒れていたということを聞いているかもしれません。この間に主に琴葉のコンベンションセンターで起こったことは記録する価値があると思ったので、本記事では琴葉陣営についての動向まとめを試みています。

 

これを書いてる人

まず自分の立ち位置みたいなのについて少し。ミリオンでは琴葉メインですが他の子も広く見たい派で、過去の投票でもけっこうあちこちに入れています。TAは明確な記憶はありませんがエレナ、美奈子、恵美に入れているスクショが確認できました(多分全部同級生に入れるとかいう無駄なことやってたと思う)。TBは新ヒロイン琴葉、探偵百合子、支配人エミリーにおよそ3分割して入れたはずです。

TCについての言及はいったん保留します(別記事でもう少し自分の主観を強めたものを上げると思うのでそちらで)。ちなみに投票初日の夜などにコンベ内でいくつか発言は行っており、自分の行動に忸怩たる思いを持ちつつ、現象としては興味深いなあなどと思っている節もあります。投票初日のコンベ内議論の後琴葉discordにも入りましたが、そちらでは現状ROM専です。

 

琴葉陣営の動き

 

開始前~投票初日

これから琴葉陣営の動きについて触れていきたいと思いますが、まず恐らくTC期間全体の動きを最も決定づけたであろう初日のコンベの議論の推移について述べます。大枠を言うと、まず琴葉への票は投票開始後主人公へ集まっていました。しかし茜ちゃんの躍進などによって別の役への集票を提案する動きがコンベ内で現れます。初日夜にコンベで議論することになりましたが紛糾。最終的にはgoogleフォームを用いた多数決がなされ、最も票を集めたファイナルデイ(以降FDと表記)への投票一本化が図られることになりました。

 

もう少し詳しく時系列を追っていきます。当然ながら自分では掬いきれない流れもあると思いますが、コンベを中心にできる限り拾っていきたいと思います。

 

まず投票開始前ですが、Twitterにおいては琴葉の話題は少なくとも私の目には触れませんでした。もちろん私自身そこまでミリオン界隈を綿密に追っているわけではないというのは当然あって(普段見るリストにも琴葉Pは入っていない)、この時点で認識するTC関連のツイートは絵師さんによるイラストがほとんどです。

一方で、琴葉discord内ではこの時点でどこに票を入れるかという話し合いが行われていたようです。ここでの議論では、最終的に主人公の役を狙うことが決定します。ここでの話し合いは私が見る限りかなり丁寧になされていたという印象です。

  • 最初に議論が「琴葉に役を取らせることを第一に考えたい人」によるものであり各人の投票を制約するものではないことが明示されている
  • 話題に上る役やそのメリット・デメリットについては、(他陣営の動きを除き)おおむね後にコンベ内で出てくる内容を網羅している
  • discordでの議論の結果を、別の場所でdiscordで決まったこととして強制させるような言及をしないことが徹底される

特に3点目については、Twitterでの宣伝もわざと時間をずらして行うなど、組織的動きが目立たないよう細心の注意がなされました。

個人的見解ですが、これはよい選択であったように思います。特に、公式コンベがなくでどうしても限られた人による議論しかできない中、それを公にして投票を呼び掛けても(それこそ今回以上の)大きな反発が予想されます。今回の裏での動きに徹したdiscordはそのあたりをよく考えていたと思います。

discordでは戦略として、TBデバフで浮動票はあまり見込めないことや琴葉Pの中で挙がっている役がばらけていることを考慮し、初動で抜けだして有利を取ることで琴葉P内の流れを作ることを目指すと決めました。

 

さて、12/19になりミリシタ内でTC投票が開始されます。琴葉への票は、まず主人公に集まりました。このとき、事前準備もあったためか初動としては悪くない票数だったと思います。主人公琴葉は開始30分時点で約300票を集めており、この時点での役ーアイドルの組み合わせ全体の中で7位です。

ところが、ここで大きな誤算が生じました。茜ちゃんがTwitterトレンドをも席巻し主人公トップに躍り出たのです。

この茜ちゃんの躍進は完全に不意打ちで、公式で開設されたコンベ内でも少なからず動揺が生まれました。開設直後は主人公の流れが強かったものの、2:00頃からは他の役を考える投稿も増えていきます。無論これは純粋に主人公以外を見たい人が他の役を提案する流れでもあったわけですが、主人公では役を取れないと危惧する投稿も徐々に目立ってきます。
役を取るという観点から役変えを検討する理由として、以下のようなものが挙げられていました。

  • 茜ちゃんのトレンド入りするレベルの勢い
  • (特に茜ちゃんとの対比としての)琴葉コンベの固い雰囲気
  • TBで役をやっている(しかもちょっと被ってる)
  • 茜ちゃんのイベントブースト(りるきゃん)

主に「茜ちゃんvs琴葉」となったときの浮動票の入りづらさを懸念する声が多いです。移動先に上がる候補としては妖精、バスターブレイド、アマリリス、ファイナルデイなど様々ですが、対抗馬や浮動票を見ながら勝てるかどうかを理由に挙げる投稿がそれなりに目立ちます。

しかし、当然ながら主人公から変えるべきではないという意見も同程度見られます。こちらも勝算という観点からの要素として以下のような点が挙がります。

  • 既に相当数の票が集まっている(この時点で他の役への票はわずか)
  • まだ投票開始直後なので趨勢はいくらでも変わりうる
  • 勝てなさそうだから役変えという行為自体が浮動票を大きく逃す

ちなみに本筋とは関係ありませんが、戦略を考えるうえで共演者との関連性を推す声が上がるとすぐさまCP推しはまずいという声が上がるのは、なるほどTAの経験がある人たちです(かくいう私も一回そういう発言をしていますが…)。

19日の午前中も平行線は続きます。平日昼間ということもあり人数はそこまで多くありませんが、だいぶ熱の入った(婉曲込み)議論が行われています。特に「このままでは勝てない」と考える人が危機感を持って役変えを提案しているのが目立ちます。日が昇ったあたりからは、先述の役変え候補の中でも特にFDが話題に上る率が上がってきます。
議論が煮詰まってきたところで、昼過ぎにTwitterによるアンケートが実施され、それをもとに後ほど話し合うという流れとなります。このときの選択肢は「主人公/FD/様子見」の3択でした。また、15時にガシャが開始し100票という予想を超える数の票が配布されることになりますが、コンベ内では主に議論の行方を見守り投票を保留にすることが呼びかけられました。そして議論は午後10時から行われることが決まります。

そして午後10時。800票以上を集めたTwitter投票はFDがやや優勢といった結果でした。ここでは主に議論はFDへの変更を主張する人がメインで進み、FDで戦う際のアピール戦略なども盛んに語られます。そして10:40分ごろ、FDでよいか?という投稿に対し20件ほどの賛成が並び、そのまま一斉投票をするかという流れに。これに対して他の立場の意見があまりないと待ったがかかり、妖精・主人公など他の役について、みたい人によるアピールがなされます。そのうえで多数決により結論を出すことになります。googleフォームにてP名+コンベIDを入力する形での投票が行われ、約150人の投票の結果6割程度の支持を獲得したFDへの投票一本化を図ることが決まりました。

この日の票の推移は以下のようでした(カッコ内は役内順位)。なお、参考としてその時点で主人公・FDで1位であった茜と春香の票も記載しています。全ての役ーアイドルの組み合わせのうち、15:00時点では主人公茜が3位、FD春香が5位、主人公琴葉が12位となっております。24:00時点だと主人公茜3位、FD春香が18位でした。表以外の役で琴葉が10位以内に確認できるのは、9:00時点で先生17(7)、女主人10(10)、15:00時点だと先生21(7)、24:00時点では友達254(6)、女主人136(8)、少女165(10)、オオカミ213(6)でした。ただし、10位以内に現れるかどうかは他のアイドルの動向も関わっているので、票数の多い順とは限りません。加えて24:00時点での投票数は有償ガシャセットの影響が大きく、単純に支持者の割合を表すとは考えにくい部分もあるので注意が必要です(この日投票券はデイリー2票に加え、15:00以降は課金によりおはガシャ1票+ガシャセット100票が入手できました)。

役・アイドル 主人公琴葉 FD琴葉 主人公茜 FD春香
12/19 09:00 856(2) 20(5) 1137(1) 1079(1)
12/19 15:00 1079(2) 43(3) 1712(1) 1337(1)
12/20 00:00 2874(3) 525(3) 23193(1) 13196(1)

 

その後の動き

翌日20日は基本的にコンベ内でのTCに関わる話題はファイナルデイが中心です。ただし、意思決定の過程を問題視する意見は時折見受けられ、またTwitterでも初日の議論で疲弊して離れたという声が一定数確認できます。この日の夜に一斉投票が行われ、1/20 24:00時点で11381票がFDに入っており2位につけました(このとき1位春香21193票、3位美也9777票、また主人公琴葉4184票)。discordでは、discord内の意見の押しつけは行わないという事前の取り決めに基づきコンベの方針に従うことが確認されます(基本的にコンベ開設後のdiscord内の議論でコンベの趨勢を変えるようなものはありませんでした)。

 その後数日コンベはこのFDを目指す体制となりますが、コンベ内ではここまでの議論の流れに対する不満が定期的に噴出する状況が続きます。FDへの投票もいま一つ伸び悩み、春香とはまた少しずつ離されていき、23日には美也に抜かれることとなります。コンベでは徐々にFD派と主人公派の隔たりが大きくなって何度か投票の一時凍結も提案されるほどになり、また発言者数が減って初日と比べると発言者が固定化する傾向がありました。

12/25夜、FD派と主人公派の応酬がやまないコンベの雰囲気改善を目的として「TCを離れて琴葉のことを話す会」が行われました。これまでコンベ内で議論が錯綜したことを受け、TCの話をしない、他者への批判をしないなどのほか、司会者を立て挙手制で発言するという掲示板としては異色のルールが採用されました。この日は約2時間の間に20~30人ほどがコメントし、感触がよかったという声が多く翌26日にも似た企画が行われました。こうした企画が一定の雰囲気改善をもたらしたことを受け、27,28日には、TCの役について純粋にどういう点が魅力かということに絞ってダイマする会が同様のレギュレーションで行われました。

29日にはここからさらに進めてどこに投票するかということについての会議が開かれましたが、○○なら勝てるといった議論に前日までと比べると挙手制会議がうまく機能せず、意見集約は難航します。30日の夜に引き続き議論を行う予定ではあったのですが、こうした状況が続くことを見かね、30日昼頃に投票一本化を断念する流れが形成されました。これに大きく反対する意見はなく、同日夜には手持ちの票を好きなところに入れようという自由投票企画が行われました。

年明け以降は、年末の自由投票において票がおもに主人公に大きく入ったこともあり、主人公一斉投票が何度か行われました(それにも紆余曲折ありましたが)。しかしここまでの劣勢を巻き返すには至らずTC投票の期間が終了しました。

 

 まとめると
  1. 投票開始直後主人公へ票が集まる(discordの事前会議の影響はそれなりに可能性がある)
  2. 茜ちゃんを追いかける構図にコンベで投票先変更の主張が増える
  3. 初日夜、議論の末の多数決でFDへの移行が決定
  4. 同担内でのFD派への反発もありFD票が伸び悩む
  5. コンベが紛糾の末に空中分解
  6. 年明けはかろうじて主人公派が組織的に動けたが1位にはなれず

 

反省会・主に手続き論

今回の件は、どこに集票するかで議論が収まらなくなり最終的に多数決で決めたものの陣営全体が疲弊したという、言ってしまえば「よくあること」だったかと思います。以前の投票でも今回でも、複数の陣営においてこういった現象は見受けられます。多分TFくらいになっても絶対どこかでこういうことは起きるでしょう。TXくらいになったら…どうだろう…そこまでいくと意思決定モデルとしてかなり貴重なサンプルになっていそうです。ミリマスあと20年続け。しかし、陥りがちな罠だからこそ考察が必要になってくると思っています。いくつかのテーマについていろいろ述べていこうかと思います。特に、「どの役に行けばよかったか」という話よりは、「どのような議論の進め方をするべきか」みたいな形式的な話を主にしたいと思います。前者については私のエネルギーが残っていれば別記事で私見を強めつつではありますが語りたいと思います。

なお、本記事の振り返りのなかで2日目以降のウエイトは軽くなっています。理由は主に2つです。1点目は、2日目以降の動きは主に初日の動向によって引き起こされているため、初日が最も重要であると判断したから。2点目が、2日目以降はコンベンションセンターを見るだけでは事態の全貌を把握できないからです。初日の議論のあと、コンベの状態に嫌気がさした人や議論に疲弊した人がコンベから離脱する動きがあったと見られています。一応Twitterでの検索などは行っていますが、私個人で追える内容には限界があり、意義のある議論が難しいと判断したための措置です。

 

初日夜の議論

2日目以降のコンベに書き込まれた不満は、特に初日の議論についてのものが多かったように感じます。また、Twitterにおいても同種の不満が確認できました(ただしTwitterの観測は個人によるものなので限界がありますが)。なかでも、FDに行ったことそのものというよりは、「勝てる役」へ乗り換えようとする態度や議論の強引さへの反発などプロデューサーの振舞いへの批判が目立ちます。

 

先に結論を言うと、12/19の22:00になった時点で議論の結果があのようになる(侃々諤々の末FDに移行する)のは半ば仕方のなかったことだったと考えます。無論、結果として主人公への投票を継続するシナリオも十分な可能性があったと思いますが、特定の要因によって議論の結果がFDへ歪められた、というようなものではないということです。

 

そもそものバックグラウンドとして、あの日の議論が結論を出すのが非常に難しいものであったことは強調しておきたいと思います。投票前にTwitterで行われた琴葉はどの役がいいかというアンケートでも結果は割れていたそうです(これは現在は削除されているようで私自身は確認していません。discordの議論ログを参考にしています)。また、当時の勝算の認識もプロデューサー間で大きな隔たりがあり、短時間でその溝を埋めるのは不可能に近かったと思います。「どこが見たいか」「どこが勝てるか」のどちらを重視するかがそもそも人によって違うのに(このあたりも初日に多く議論されていたことでした)、「見たい」「勝てる」役の認識についてもバラバラな集団が議論するというのは、それだけでカオスが約束されているようなものです。その上で議論が「荒れた」要素とは何だったのでしょうか。

まず「勝ちに行く」ことへの批判ですが、そういった方針の人が一定数いる以上それを否定するのは非現実的かと思います。私自身、勝ちを狙うプロデュース方針はそれなりに理解できる(自分がそうというわけではありませんが)ので、そうした議論が起こることは避けられないと考えています。
ただし、今回の教訓として、コンベなど多くの人の目につく場所で「勝てるか」の話をしすぎるのは却って「勝てなく」してしまうということは留意しておくべきでしょう。どうしても勝てるかの議論というのは、他のアイドルと比べてどうだとか対抗がどうだから浮動票が狙いやすいだとかいう内容になってしまいますが、そのような生々しい話を嫌う人も多いということは今回の件のみならずそれ以前のケースからも推し量れることです。「勝ちを狙う」人は、自身の誘導が集団にどう影響するかまで含めて勝算を考える必要があり、そのジレンマに向き合い続けなければならないのだと思います。

続いて、議論の強引さについてですが、これは一部の人が強く議論を引っ張ったことに起因するものかと思います。しかし、これについては個人を叩いても仕方のないことです。恐らく動機としては琴葉を勝たせたいという至極単純なもので、「たまたま」それが極端で手段が追い付いていなかったというだけに過ぎません。人狼ならロック思考の人を吊るだけでいいわけですが、コンベで全員が非表示とするわけにもいきません。初日夜の時点で早急に結論を出したいという焦りがあるのも当然で(私自身そうだったのは否めないのですが)、集団全体としても浮足立っていた中議論を落ち着けることは困難だったという印象があります。

少し私見が強まっていると感じるので、以下は特に個人の意見に過ぎないことを明言して述べます。私自身はあの場の議論では数回発言しておりうち1回はFDへの同調を含むものでした。それを踏まえてなぜ強引と見られる議論がなされたのかについては、何人かの強い発言が直接的な原因だったと考えます。ただし、それはコンベに集まった人たちの集団としての雰囲気を土壌としたものであり、ある個人がいなかったとしても大なり小なり同じ議論の道をたどっていたという考えです。これをもとに、本節の冒頭で述べたように議論の結果は「仕方なかった」というのが私の主張です。

こうして私はめでたく自分の責任を集団に押し付けることができたわけですが(やめなさい)、ではそれを踏まえてどうすればよいかといえば、できることは多くないと思います。まずは一人一人が掲示板での議論に慣れ、あるいはよりよい状況判断ができるようになること、そしてもう一つはコンベンションセンターの形式を変更することです(コンベの形式については後の節で改めて触れます)。結局責任論になってしまえばコンベにいたみんなが悪いという以外にないので、改善するにはみんなを改善する以外にありません。さすがにそれではあんまりなので、じゃあどうすればよかったかというのは最後の節にもう少し真面目に書きたいと思います。

 

しかし、他のコンベに比べても特に琴葉のコンベが荒れたのはなぜかということは分析する価値の大きいことだと思います。票が割れたところまでは同じだったがその後持ち直したところもあるようなので、そことの比較は是非ともしたいところです。残念ながら私自身は他コンベまで手が及ばず断念してしまったので、他力本願ではありますが他の方の分析をお待ちしております。

 

多数決

 最終的に初日夜の議論に決着をつけたのは多数決でした。当時かなりヒートアップした状況で話し合いで決着をつけるのは困難だったため(これはギャグとして消費したい話なのですが、どのように多数決を取るかでだいぶ揉めました)、この措置はやむを得なかったでしょう。
ただ、その参加人数についてはいろいろ考えられそうです。Googleフォームでの投票はコンベIDも併記する形であり、すなわちコンベへの書き込みが必要でした。これは投票操作を危惧する声から生まれたものでしたが、結果として冷静さを欠いたコンベにいる人たち(もちろん私もその一人でした)だけで決定しなければならない状況に追い込まれたというのはあまりよくなかったかもしれません。この形式で150人の投票は決して少なくはないでしょうですが、それでもTC参加者の一部にすぎません。最初から「議論して多数決しよう」ではなく、多数決に追い込まれないような立ち回りがベターだと思います。

また、特に昼間のTwitterアンケート(800以上の投票)に対してはその正確性が疑問視される場面が多くありました。これをどこまで信用するかということについても対立の要因の1つだったかと思います。実際、TwitterアンケートはRTの性質上投票母体の性質が固まりやすいなどの欠点があります。私自身はあのアンケートはある程度の信憑性を持ったものだと思っていますが、評価が割れるものを議論のたたき台にしたことは分裂の一因となった可能性があります。

 

discord

コンベ内ではdiscordに対する批判というのも見受けられました。しかし、実はdiscordの話題が出るのは初日の議論からしばらく経ってからであり、私の感想としてですが責任を押し付けるための当て馬にされてしまったに過ぎないと思います。

まず前提として、discordが影響を持ったのはスタートダッシュまででした。そして、スタートダッシュ自体は前述のとおりそれなりに成功しており、開始直後に「茜VS琴葉」の構図の印象を持った人も多いと思います。仮に主人公一本で行っていた場合、(事前アンケートの琴葉Pの割れ方を鑑みるとなおさら)それは功績と言えたでしょう。開始時点ではその可能性が大きかったことも事実です。
ところが実際にはどこに票を集めるかコンベで議論する流れになりました。このルートに入ってしまった場合、批判として「組織的集票によって琴葉P全体の実態がわからなくなった」というものが考えられます。実際、初日夜の私個人の思い出としてですが、昼頃からの投票控えの動きやTwitterアンケートなどによって複雑になった状況をうまくつかめていませんでした。
しかしながら、ではdiscordの組織的動きがなければそれが起きなかったかといえば、それは否だと思います。なぜなら、「役はともかく琴葉に入れたい」という層によって役の間の少しの票差が拡大するフィードバックが働くからです。これによって、微惑星の暴走成長よろしく(伝わらない)特定の役に票が集まる現象は確実に起きていたはずです。そして、初日9:00における票数を見れば主人公以外への投票はせいぜい10人分程度で、もし組織票のないスタートからであっても票の受け皿になった可能性はそこまで大きくないと考えられます(discord組による宣伝も含めて考えると話が複雑になりますがそこまで大きな影響はなかったでしょう)。

以上を踏まえると、discordの手はローリスクハイリターンであったと言えます。なお、discordの立ち回りとして、役の押しつけなどは避けつつ情報や議論をできるだけオープンにするという戦略をとったところもあったようですが、琴葉鯖がとった戦略とどちらがいいかというのは詮無き事です。いずれにしても、投票開始前のコンベがない中で、組織としての強みを生かした情報集約・分析や戦略立案が十分に実施されており動き方に問題はなかったと思っています。

 

議論妨害 

特に中盤戦以降ですが、5chなどで荒らしが宣言されたりしたようです(私自身は5chは守備範囲外なので自分での確認はとれていません)。あるいは、事実かどうかはともかくTCにおける他Pによる妨害工作が取りざたされたりもしました。
私もコンベのログを眺めている中いろいろ思うアカウントがあったことも事実ではありますが、それ以上の明言は避けます。それは私自身の技量が個々の案件に触れられるほどないというのもありますが、結局「妨害行動が成立するようになった時点でダメ」だと思うからです。

ただし、仮に次回以降あったとして、今回で荒らしが成功体験を覚えてしまっていた場合、今回以上に防御力を上げておく必要があるかもしれません。私含め皆さん穏便な対処を心がけましょう。そういう点ではそもそもコンベを議論の場にしないというのは有効なのですが、胃の痛い煽りは嫌いだが胃の痛い議論は好物の私としてはあまり推奨したくありません。他の方の振り返りを見ても議論しないのは他の点におけるデメリットも大きいようです。

 

コンベンションセンターのシステム

これはシステム面の問題でユーザーから干渉できる話ではないのですが、今回のコンベのシステムはやはり分裂を誘発しやすい環境であったと思います。

まず140字の字数制限は、現状を分析して共有するとか議論を土台から徐々に積み上げていくとかをしようとした際には致命的に足りません。1分1ポスト制限もあったと聞いていますが、そうでなくても議論が白熱すると複数ポストをしても分断されてしまいます。加えて、一画面の表示可能数もわずか5ポスト程度のため話の流れを追うのが大変で、返信を書いている間に元が流れてしまったり、複数の話題が進行しているときに混乱が起きたりしました。また、これが個人的に今回特にマズかった仕様だと思っていますが、過去ログがスクロールで見るしかないため、以前の流れを追うのに大変な労力がかかります。

その他、投稿者の情報が名前とコンベ限定IDしかない点も問題視する声が多かったと思います。このため、荒らしとか他Pの騙りとかが話題に上る機会がかなり多くありました(重ねて言いますが実態はコメントを避けます)。投稿者情報については、グリー版ではファン人数を表示する仕様があったためそれを求める声もありましたが、個人的にはマウント取りなどが現れる心配もあるので一概に賛成とは言い切れません。
恐らくこれに関しては運営が最も情報を持っていると思うので、今後コンベが再実装されることがあれば仕様変更に注目したいと思います。

 

どうすればよかったか?

多くの人間が関わって陣営としてどう動いていくかという問題は、物理で言えばカオス、つまり現在の状況から将来を見通すことがほとんど原理的に不可能な現象だと思います。ブラジルの蝶の羽ばたきが竜巻を引き起こすかもしれない、それは誰にもわからないのです。そうした中で今回たどった道はお世辞にもいいとは言えませんが、その時その時の判断としては必ずしも非難されるものではないでしょう。

そんなわけで基本的に未来のことを言えば皮算用で過去のことを言えば後出しジャンケンなのですが、その上で取りえた選択肢の一つについて考えたいと思います。

 

 それは、他の陣営でも行っていた方法でもあるのですが(結局そこには別の流れができるのですが)、投票券を実際に用いたアンケートを取ることです。私個人の感想ですが、「初日22時の状況で今後の戦略を決断させられた」ことが今回の最大のポイントと考えています。とはいえ、このタイミングで決断すること自体はやっておきたい。そこで、コンベで意見が割れそうになった早期の段階で、勝ち負けでも見たいかどうかでもいいから自分の思うターゲットへの投票を呼びかけ、その結果をベースに考えるわけです。特に勝ち負けで判断してもいいことを明言し、期間中はどんどん自分の思う集票先の宣伝をしてもらって、おのおのの思惑をひっくるめた投票結果となることを狙います。

この作戦のメリットですが、実際の票を用いて琴葉Pの動向を捉えられれば、それなりに客観的指標になることが期待されます。いっぽう初日の票は全体からすればわずかなので、方針決定と割り切って使ってもそこまでの問題はないでしょう。方針がコンベに書き込む人だけで決定される問題のある程度の解決になります。また、(そもそもあまり話題に出すものでもないですが)他Pの干渉については、他Pにとっても大事な票である、趨勢を変えるほどの大きな動きはさすがにバレる、また仮に操作があったとしても複数の陣営からの圧力が相殺されることが期待できるなどの観点から、問題にはならないと考えます。

しかし、これにも欠点が存在します。1つは先ほど述べた票が集中しやすいフィードバックがあることで、真の割合よりも偏った結果になることは考えられます。そして、最大の問題が15:00の100票ガシャセットです。これに間に合わなければ、課金者と非課金者で投票券に50倍もの格差が生まれます。こうなると少数の課金者の意見が大きく反映されてしまうので、15:00以降はこの手が使えなくなります(少なくとも納得しない人が多くなるでしょう)。今回はガシャ告知こそあったものの100票も付いてくるというのは想定外だったため、仮にこの方針を取っていたとしてもここで紛糾していた可能性が高いでしょう。

 

他にもいくつかとれる手はあったとは思いますが、あまり実際に起きていないことばかり話しても水掛け論になってしまいます。それでも、私としてはこの作戦は今後カードとして持っておいていいと感じました。

 

コンベンションセンターの統計

 コンベンションセンターに関して、いくつかデータを取ったので載せておきます。ただし、他のコンベとの比較を行っていないこともあり、解釈などは私の方ではあんまりできていません。また、解析の過程に一部アナログなところが入っていたりするので数字は若干の誤差を含む可能性があります。そういったことも含めて、もっと処理に長けた方の登場をお待ちしております。

 

集計期間:2018/12/19~2019/1/20

日付 post 投稿者数 新規投稿者数 最終投稿者数
12/19 2929 346 346 202
12/20 883 156 64 62
12/21 313 92 29 29
12/22 305 71 20 25
12/23 373 72 24 23
12/24 328 71 17 15
12/25 350 81 26 30
12/26 200 47 5 9
12/27 459 57 15 12
12/28 263 59 9 19
12/29 335 48 17 13
12/30 635 101 40 54
12/31 231 117 82 86
1/1 39 37 14 21
1/2 39 27 11 11
1/3 261 49 16 19
1/4 140 40 12 17
1/5 77 51 20 25
1/6 341 50 13 23
1/7 46 24 5 10
1/8 19 15 5 5
1/9 26 18 4 3
1/10 60 28 6 10
1/11 35 20 3 9
1/12 31 14 1 1
1/13 32 21 9 10
1/14 17 11 5 5
1/15 47 24 5 10
1/16 23 16 3 7
1/17 6 6 0 2
1/18 26 16 6 6
1/19 93 47 15 31
1/20 112 57 14 57
Total 9074 861

 

 postが書き込み数です。また投稿者数はコンベIDによって確認しており、その日に書き込みを行った人数、およびその日に最初/最後の書き込みを行った人数を掲載しています。

 

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f:id:weretigereye:20190126212353j:plain

同じデータですがグラフでも示しておきます。

 

おわりに

何度か触れていますが、あくまで自分の立場ですが「起こったことはしょうがない」と思っています。先のことは100%分かるなんてことはないのですから、議論の結果について後から評価してもどうしようもない面もあります。しかし、一人一人が起こった結果を分析することは有意義なことであると思って本記事を書きました。

また、できる限りの注意はしましたが一当事者である私個人で行えることには偏りや限界があります。ぜひ様々な立場から多くの方に振り返りをしていただき、今後へ活かせるものを見つけていければと願っております。

 

 

参考にさせていただいたもの

    票数の推移は主にこちらのツイートを参考にしました

    上のbotは開始直後は稼働してなかったので開始30分の票数はこちらから

    コンベンションセンターのログはここから

sSRのシンデレラ灯織コミュを勝手に改造する

最近シャニマスを楽しんでいます(あまりに久しぶりの更新で前回記事時点ではシャニマス始まってなかったらしい)。

テキストが本当によくて、適度なリアリティ(リアルとは必ずしも一致しない)でさくさく読み進められます。おかげでPとアイドルだったりアイドル同士の関係だったりからキャラクターの魅力にズブズブ嵌っています。正直始まる前はまだ増やすんかいとか思っていましたが、蓋を開けてみれば他との差別化という点でもしっかりしている良質なコンテンツだったので、これからじっくりと育っていってほしいと思っています。

テキストという点でさらに具体例を挙げて褒めれば、今回のpSSR凛世も素晴らしかった。「思い出~!人権~!」とか言いながら引いて(50連で2凸まで来ました)コミュを見たのですが、その予想以上の出来にひっくり返りました。ガシャの時のフラッシュ演出も、コミュを読むと初見で感じた綺麗以上の感情が乗って2度おいしい作りになっています。基本はテキストボックスにセリフを表示するだけという制約の中で、巧みに演出も織り込みながら情緒を感じさせる力量は流石で、こういった体験はなかなか他では得られないと思います。個人的には同人誌などで得られる感情に近く(まああっちは好き勝手出来るので)、公式としてその域に達しているのはすごいの一言です。

 

さて、話があちこち行っていますが今回のテーマは同時にガシャに追加されたsSR【魔法の階段を上って…】風野灯織についてです。以下コミュに関するネタバレがあります。

このカード、性能面でもオーディションマスタリーという興味深いスキルで話題になりましたが、コミュでもカードイラストとコミュ内1枚絵が違うというサプライズがありました。で、コミュを最初に見たとき倍速で見ていたので、細部まであまりちゃんと読まずところどころ自分で適当に補完して、結果として神ストーリーが出来上がったので大絶賛したわけです。ところが、Twitterであるツイートを見てあれ?となって見返すと、確かに少し自分が思ってたのとは違っていました。私としてはそれでも別によかったのですが、これでは確かに人によっては絵が変わったことで騙されたと思うかもしれません。そこで、せっかく勘違いをしてしまったのですから、本来解釈するほどでもないこのコミュを無理やりこねくり回してみたいと思います。

【実際のコミュ】

最後の下りから灯織が王子様としてPを想起していたことが示唆されます。1つ目のイベントから実際に読み合わせで王子役をやっていたのがめぐるだと思われるので、絵の変化はカードイラストが実際の状況に合わせたもの、コミュ内絵が灯織のイメージ(王子はP)という風に使い分けられています。

私はあまり地雷というものはないしうちのめぐるは灯織に報われない好意を抱いていることがあるので解釈一致なのですが、じゅりなつなどでサポートアイドルに百合を見に来ている人たちにとっては期待していためぐひおが見られずいい迷惑かもしれません。絵が変わるという斬新な演出も立場によって評価が割れてしまうでしょう。

【初見で思ったこと】

初見では、最後の真乃がプロデューサーのことを話題に出すのを見逃していました。加えて絵の王子様役がPであるという認識にも至らず、私の中では灯織はめぐるのこと思って演じていたことになりました。そうして早とちりによる「演じている人:誰か、灯織脳内:めぐる」という構図ができて、神コミュだと思ったわけです。

ところがよくよく考えると上記のように実際に王子役を演じていたのがめぐるなわけですから、残念ながらこれは矛盾しているわけです。

【めぐひおを諦めない】

そこで、真乃の「プロデューサー?」というセリフをカットしてしまい、とりあえず灯織がめぐるを思っていたということにしてしまいましょう。その上で絵が変わった理由を考えると、なかなかいい感じのストーリーが出てくるんじゃないでしょうか?

「王子様への思いを強くしようと意識しながら演技した灯織。演技中は集中していたので気付かなかったが、めぐるに誰を想像していたのか聞かれて自分がめぐるのことを考えていたことに気付き…」

あ、いいじゃん。完璧だわ。めぐる目の前にいただろとか言うなよ。灯織は演技にのめりこむタイプだから演技中はそういうことは意識には上らないんだよ。

 

…思ったほどは上手くいきませんでしたが、このシチュエーションはポジションを変えるだけでだいぶ楽しめることがわかりました。いずれにせよ、今回のコミュも(少なくとも個人的には)非常によいものでした。絵の一部を変えるなんてことができるのならば、今後もいろいろなシチュエーションで使えそうです。これからも創意工夫を凝らした演出で彩られるシャニマスの物語を楽しみにしています。